六本木ヒルズからの七転八倒

【七色編02】もう『サラ金』無理なんじゃないの?

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「ほら起きて!顔洗う!今日は十五日だよ!月イチのイベントだから絶対に行くって言ってたのは正吾でしょ!?」

何のことはない。私が足繁く通っている池袋のスロット屋に近いという理由で、この部屋に泊まり込んでいるのだ。特に大きなイベントが行われる日の前夜は、必ずと言っていいほど『前ノリ』してきた。

「あー、うん、おはよう……。今何時?」

「七時四十分!あーもう!今から並んでも『サラ金』座れないんじゃない!?」

私は寝癖のついた頭を掻きながら「どうだろう、微妙かも」と、曖昧な返事でごまかした。

「じゃあ急ぐ!ほらほら!!」

彼女に促され、ベッドから起き上がった。昨夜は久しぶりに大学生協で働いていた頃の友人と深夜まで酒を酌み交わした。そのアルコールが今もまだ体内で悪さをしているのか、頭がグラグラする。私は壁に手をつきながら、おぼつかない足取りで洗面所に向かい、青い蛇口に手を掛けた。心臓が止まりそうなくらいに冷たい水を両手ですくい、息を止めて顔に浴びせかけた。思わず「プアッ!」と声が出た。慌ててタオルを手に取る。荒療治だが、これが一番目が覚める。

おそらく今から急いで家を出ても、人気機種である『サラリーマン金太郎』に座ることはできないだろう。そうなった時、彼女に何を打たせるべきかを考えながら、歯ブラシを咥えた。もっとも、ジャグラーを打つ私には直接は関係の無いことなのだが。

「準備できたら行きますよ!ほら!」

少しは酔いが覚めてきたのか、彼女の声が、さっきよりも私の脳を揺らさなくなっていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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