六本木ヒルズからの七転八倒

【七色編07】この台、楽勝だよ!

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次に男が手でトンネルを作ったちょうどその時、私の台の下皿にあったコインが全て飲まれてしまった。点灯していないGOGO!ランプを覗きこむ男を横目に、私は背もたれに掛けていたコートを手に取った。男はやはり小首をかしげてすぐに遊戯を再開した。

4箱目に突入していた左隣のカド台がヤメそうにないことを確認してから、私はコンチ4Xのシマへと向かった。コンチ4Xのカド台には、『トヨタ』と刻印された特製の樽を足元に置き、連チャンを続ける裕子の姿があった。

「まだまだ終わりそうにないね」

周囲の喧騒にかき消されないように裕子に耳打ちすると、

「この台、楽勝だよ!目押しも簡単だしね!」

そう言いながら、裕子はナビに従って赤リンゴと青リンゴを揃えていった。台上に乗せられた二つのドル箱と、足元に置かれた樽を見て、今夜は寿司でも奢ってもらおうかと思いを巡らせた。二人のどちらかが大勝ちした日は、普段よりも少し高い夕食を奢るのが暗黙の了解となっていた。

「行くんでしょ?」

裕子がふいに手を止めた。私が聞きなおすと、

「だから、マージャン打ちに行くんじゃないの?」

親指と人差指で麻雀牌を摘むような仕草をつけて尋ねてきた。私は小さく頷いた。裕子に、連チャンが終わったらメールを入れるように伝え、私は店を後にした。外に出ると、雪が降り始めていた。そういえば天気予報でそう言っていたような気がするなと思い出しながら、私はマフラーを首に巻いた。

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  • コンチ4X「楽勝とは聞き捨てならないな」(C)ユニバーサルエンターテインメントコンチ4X「楽勝とは聞き捨てならないな」(C)ユニバーサルエンターテインメント

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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