六本木ヒルズからの七転八倒

【七色編14】「せっってぇぇい!はっっぴょょう!」

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二人の間に沈黙が流れた。それと反比例するように、この店の名物とも言える、店長のマイクパフォーマンスが勢いを増していた。

「サラリーマン金太郎ー!設定発表!ごひゃくー!ろくじゅー!……んーなな番台!設定6!おめでとうございます!」

いつものように、たっぷりと「タメ」の効いた設定発表だ。この店長は本当に盛り上げ上手だ。私自身、何度も設定発表台に座っていたことがあるが、『6』と大きく書かれた札が台上に挿される瞬間は、全身の血液が逆流するような興奮を覚える。裕子に至っては、店長に向かって「ココ!ココ!」と自分の台を指差してアピールするほどだ。たとえ自分の台が高設定ではなかったとしても、明日こそは自分が掴んでやると思えるから、皆この店に通うのだ。

「さすがに大漁に発表台は無いよな?」

「そうですね。あるとしたら高垣さんの台でしょうけど。それより、ジャグラーに発表台があるとすれば、奥側のカド3か、その二つ隣の台。あのどちらかだと思いますよ」

私がジャグラーのシマを指差すと、高垣さんはにわかには信じられないといった表情でこちらを見た。

「お次はー!GOGO!ジャグラーコーナー!にひゃくー!にじゅー!……んーなな番台!おめでとうございます!設定6ー!」

店長の声とともに『6』と書かれた札が差されたのは、奥側のカド3の台だった。高垣さんは目を丸くして私の顔を見た。

「スゴイな!なんで分かった?」

目を丸くして驚く高垣さんに、私は得意になった。

「昨日も高設定っぽかったんですけど、ヒキが弱くて全然出てなかったんですよ。ああいう台は据え置かれるんですよ、この店は」

高垣さんは、今度は口をふぐのように丸く尖らせて、「ほー」と関心してくれた。私自身、高垣さんの前で予想が的中したことは誇らしかったが、それならば朝から自分が打てばよかったと後悔した。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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