六本木ヒルズからの七転八倒

【七色編15】大漁2の灯台が、回る

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「この後は彼女とデートか?」

「いえ、実家に帰ってるんで……」

「何や?逃げられたんか?」

「違いますよ!父親の誕生日らしいです。だから朝から母親とプレゼント買いに行ったみたいです」

私は若干ムキになって否定した。高垣さんは相変わらずニコニコと笑い続けている。

「それやったら、この後……」

そこまで言うと、高垣さんの動きが止まった。ふと隣を見ると、高垣さんの台の告知ランプが点滅していた。ジャグラーの場合、告知ランプは『点灯』だが、この大漁2では『点滅』なのだ。これは、大漁2の告知ランプが『灯台』をモチーフにしてることに由来してるのだろう。告知ランプが点滅することで、360度回転して光を放つ『灯台』のように見えるという寸法だ。

私は高垣さんの方を向いて口角を上げた。だが、高垣さんは違った。高垣さんは、眉間に深くシワを寄せて、点滅する告知ランプを睨みつけていた。その顔には、さっきまでの笑顔は完全に消え失せていた。私はなんだか見てはいけないものを見てしまったような気がして、とっさにデータ表示機に顔を向けた。しばらくすると、コツコツという乾いた音が聞こえてきた。隣に目をやると、高垣さんが告知ランプのあたりをコインで軽く叩いていた。

「ジャグラーと違って『点滅』やから見やすいな!」

さっきの険しい顔が嘘のように、高垣さんは笑っていた。高垣さんは、三枚掛けでゆっくりとボーナス図柄を狙い、見事『鯛』の図柄を揃えた。ビッグボーナスを消化しながら、高垣さんはさっきの話の続きを始めた。

「この後、ヒマならメシでも食べよか?」

私はふたつ返事で応えた。この人とはもっと話してみたい。そう思わせる何かがあった。

「じゃあこの近くに焼肉屋があるんで、そこでどうですか?」

私の提案に、高垣さんは親指を立てた。

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  • 左下の灯台が眩く点滅し、海の安全を守る。左下の灯台が眩く点滅し、海の安全を守る。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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