六本木ヒルズからの七転八倒

【七色編16】タン塩で生ビールを

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その焼肉屋は、『スロット トヨタ』と例の雀荘のちょうど中間地点にある、比較的高級な店だ。店内に入ると、小柄な女性店員が対応してくれた。私たちは小上がりの半個室へと通された。

「良い店やん、彼女と来んの?」

「そうですね、どちらかが大勝ちした時に、たまに」

「それやったらしょっちゅうやろ?あの彼女さんやったら」

高垣さんはコートを脱ぎながら、いたずらっぽく笑った。私は苦笑するしかなかった。やはり、裕子のヒキの強さは私以外の人から見ても格別のようだ。

とりあえず生ビールで乾杯した。あまり飲み過ぎると裕子に叱られてしまうが、今日は構わないだろう。この人と一緒に呑めば、きっと面白い話が聞けそうな気がする。

ふすまがスッと開き、先ほどの女性店員が顔を出した。肉の第一陣が運ばれてきた。まずはタン塩をトングで丁寧に網の上へと並べた。高垣さんはその様子をビール片手に眺めていた。

「あの雀荘にはよく行くんですか?」

「そうやな。本当はサンマ打ちたいんやけどな。俺、大阪出身やから」

その言葉遣いからうすうす感づいてはいたが、高垣さんはやはり大阪出身だった。大阪では、四人打ち麻雀と同じくらい、三人打ち麻雀――いわゆるサンマ――がさかんだと聞いたことがある。

「あの雀荘、雰囲気はイイから好きやけどな……あの卓はイヤやねん」

「どうしてですか?入り口に近いから気が散るとかですか?」

「いや、そうやなくてな……」

そこまで言うと、高垣さんは口をつぐんだ。

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長崎 正吾

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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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