六本木ヒルズからの七転八倒

【七色編22】『6』と書かれた札

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次に高垣さんの姿を見つけたのは、焼肉屋で別れてから二週間後だった。

高田馬場のスロット屋で裕子と二人仲良く散財した後、池袋へと移動し、『スロット トヨタ』を覗いた。ぶらぶらと店内を一周したものの、目ぼしい台は見つからず。仕方なく店を後にしようとした時、ジャグラーのカド2で遊戯する、赤いネクタイがが目に入った。

「高垣さん、お久しぶりです」

私が声をかけると、高垣さんは目を丸くして驚き、すぐに人懐っこい笑顔を見せた。

「久しぶりやな。最近調子はどうよ?」

「ボチボチですね。最近は高田馬場の方で打ってたんで。高垣さんの方こそ凄いじゃないですか」

「今日だけや」

そう言って笑う高垣さんの台上には『6』と書かれた設定発表札と、満タンのドル箱が二つ並んでいた。

「正吾、どちら様?」

隣にいた裕子が耳打ちしてきた。

「あぁ、ちょっと前に話したでしょ。『トヨタ』で知り合った人に焼肉奢ってもらったって」

裕子はそれを聞くと「あぁ!」と顔をほころばせ、あらためて高垣さんに会釈した。高垣さんも満面の笑みで、二度三度頭を下げた。高垣さんは以前会った時と同じように、ひと掴み分のコインを隣のカド台の下皿に無造作に放り込むと、隣の椅子をトントンと叩いた。私は困惑しつつも着席し、裕子に休憩所で待つよう伝えた。裕子の後ろ姿を見送ると、高垣さんが私の肩に手を置いた。

「俺な、たぶん今日で最後や」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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