六本木ヒルズからの七転八倒

【七色編23】よそ見をすると、ペカる

←BACK【七色編22】『6』と書かれた札

「どういう意味ですか?」

私が聞き返すと、高垣さんは眉尻を下げ、物憂げな表情で台の方を向いた。

「大阪の本社に戻ることになった。まぁ俺にしてみたら地元に戻るだけやけどな」

「……そうなんですか」

私は下皿のコインを十枚ほど掴み、コイン投入口から滑り込ませた。レバーを叩き、ストップボタンを三つ押す。素っ頓狂な停止音と共に、見慣れた図柄がバラバラと現れた。論理的根拠の無いオカルトは好きではないが、今日はペカらないような気がした。

「厳密には四月からなんやけど、ウチの会社は適当やからな。もう来週からは大阪とコッチを行ったり来たりになりそうやねん。やから、この店にも来れんようになるわ。イイ店やったのになぁ。『6』の掴み方も教えてもろたのに」

『6』と書かれた札を右手でデコピンするような仕草をして、高垣さんはニヤリと笑った。

「残念ですね。高垣さんとはまた麻雀打ちたいと思ってたんですけど」

「でも、アノ卓はアカンで!赤五萬で振り込むからな!」

そう言って、高垣さんは私の顔を見て大笑いした。私も背もたれに身体を預けて笑った。その時、私の視界の端に淡い光が飛び込んできた。

『打っている最中によそ見をすると、GOGO!ランプがペカる』

何の論理的根拠も無いオカルトであるはずだが、多くのジャグラー打ちが首を縦に振るだろう。私の顔を見て笑う高垣さんの台で、GOGO!ランプが音も無く光った。

→NEXT【七色編24】『樽』目指しましょう、最後だし。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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