六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編03】レアネームズ

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振り返ると、先ほどまでエレベーターに乗り合わせていた女性が、裕子に向かって手を振っていた。裕子は一瞬キョトンとしていたが、ゆっくりと近寄ってくる相手の顔をマジマジと見て、何かに気がついたようだ。

「やっぱり、裕子だよね?」

「恵じゃん!ウソ!今一緒に乗ってたの?全然気が付かなかったー!」

二人は手を取り合ってピョンピョンと子供のように飛び跳ねた。周囲の買い物客が訝しげな顔で何事かとこちらを見ている。私はいたたまれなくなり、裕子の肩を指先で叩いた。

「裕子、そちらの方は?それと、声のボリュームを少し落として……」

私が口の前で人差し指を立てているにも関わらず、気にする様子もなく、

「この子ね、高校の同級生だった『アクツメグミ』!阿修羅の阿に、久しいに、三重県の津で『阿久津』ね。もー超久しぶりじゃん!元気してたー?」

裕子は久しぶりの再会にすっかり興奮してしまっている。そのハイテンションに、阿久津さんも少し困惑しているように見えた。私が頭を掻きながら会釈をすると、阿久津さんとその後ろの長身の男も一緒に会釈を返してきた。それを見て、二人の関係性は概ね理解できた。

「恵、そちらの方は?」

裕子はニヤニヤしながら長身の男の顔を見上げた。阿久津さんも男の顔を見上げ、肘のあたりをそっと触れた。

「オオカンダリョウです。はじめまして」

「オオカンダ?」

裕子が小首を傾げると、男は穏やかな笑みを浮かべた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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