六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編10】『いけふくろう』で

←BACK【乗打編09】『サンダーV』の着メロ

――今ドコ?まだトヨタで打ってる?

大きめ野菜がゴロゴロ入ったカレーを堪能した二日後。私が『スロットトヨタ』でジャグラーと戯れていると、裕子からのメールが届いた。

――打ってるけど、もうすぐヤメるよ。『いけふくろう』で落ち合おうか。

私が送信ボタンを押すのとほとんど同時に、GOGO!ランプが光った。これが本日最後のボーナスだ。

――わかった。もうすぐ池袋着くから待ってる。

時刻は午後十時を回っていた。。ドル箱二つをコインジェットに流し、私は『スロットトヨタ』を後にした。店を出ると、眩いネオンが目に飛び込んできた。この時間ではまだまだ、この街は眠りにつきそうにもない。

風俗案内所とストリップ劇場の間の細い路地を抜け、大通りに出た。明らかに供給過多と思われる大型家電量販店を道の両側に見ながら、駅へと向かう。

駅に入り、地下へと続く階段を降りるとすぐに『いけふくろう』が目に入った。この『いけふくろう』の銅像は、待ち合わせスポットとして有名であると同時に、世間からの評判がよろしくない。その理由はすぐに分かった。とにかく人が多すぎるのだ。JRや私鉄を降りた人の波が東口へと流れ、『いけふくろう』を取り囲む。当然、待ち合わせをしたとしても、お目当ての人がどこにいるのかさっぱり探し出せないのだ。私は仕方なく携帯電話を取り出し、裕子に電話を掛けると、ワンコールもしないうちに繋がった。

「後ろにいるよ」

私が振り返ると、女子トイレのすぐそばで壁にもたれ掛かっている裕子が見えた。電話を切って近寄るが、裕子は渋い表情で腕組みをしたまま動こうとしない。

「お待たせ。どうしたの、そんな渋い顔して。そんなに待たせたっけ?」

私が尋ねると、裕子はかぶりを振った。

「何?恵さんと何かあったの?」

「……あとで話す。とりあえず、行こ」

裕子は私の肘のあたりを掴んで、西武池袋線の改札へと歩き出した。

→NEXT【乗打編11】月刊『パチスロキング』

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

9月≫
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

戻る