六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編16】妙なカットイン演出

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入店すると、私はまっすぐGOGO!ジャグラーのシマへと向かい、カドから二番目の台を確保した。そもそも、朝イチからジャグラーのシマに向かう客は私以外にいないのだから、台確保は楽なものだ。狙い台の確保が容易というのも、私がジャグラーを打つ理由のひとつだった。とりあえず千円分のコインを借りたところで、三人の様子を確認するために席を立った。

阿久津さんは『大花火』のシマのちょうど真ん中あたりに座っていた。膝の上に置いた財布から千円札を取り出し、コインサンドに入れる。コインサンドのコイン排出口に手を置き、出てきたコインを掴むやいなや、台に投入し、レバーを叩く。阿久津さんの、その慣れた手つきは、とてもスロット初心者のものとは思えなかった。

次に、裕子が『サラ金』のカド台に座れたかどうかを確認しにいく。『サラ金』のシマの一番奥に、見慣れた後頭部が見えた。どうやら無事確保できたようだ。私は一言声を掛けようと思い、裕子に近づいた。すると、裕子の隣に座っている客が、何やら裕子に話しかけている。私は何事かと思い、歩みを早めて近づくと、その客は大神田さんだった。

「お……大神田さんも『サラ金』打つんですか?」

私は大神田さんと裕子の間から顔を出して尋ねた。

「うん、ちょうど空いてたから。ダメ?」

「いや、ダメってことはないですけど……」

私は裕子と顔を見合わせた。裕子も少し困惑したような表情を浮かべている。私は裕子の肩を叩いて、

「とりあえず頑張って。俺はジャグラーにいるから、もし何かあったらすぐ来てね」

「何かあったらって、何があったら行けばいいの!?」

「え?そうだな。小役演出が出たら……」

「そんなのすぐ出るじゃん!」

裕子は笑って、肩に置いた私の手に自分の手を重ねてきた。私は、大神田さんから妙なカットイン演出が出ないことを願いながら、ジャグラーのシマへと戻った。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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