六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編17】金太郎チャンス100ゲーム引いた…

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大神田さんの予想外の行動にやきもきしながら、しばらくジャグラーと格闘していると、誰かに肩を叩かれた。振り返ると裕子が浮かない顔で立っていた。

「どうした?」

私は遊戯の手を止め、裕子に尋ねた。

「二千円でビッグ引いて、そこから金太郎チャンス100ゲーム引いた」

「マジか!?」

まったく、ウチの姫様のヒキ強ぶりには毎回驚かされる。まだ十時半にもなっていないというのに、もう勝負を決めるつもりか。だが、私が「良かったじゃん」と言っても、裕子は口をへの字に曲げたままだ。私はまさかと思い席を立ち、裕子の腕を引いて休憩スペースへと向かった。

「何かあった?」

休憩スペースのソファに腰掛けて私が訊くと、裕子は何かにあきれたような顔をして、頭を掻いた。

「なんかね……。大神田さんがちょいちょい話しかけてくるんだよね……」

私は、心臓が大きく脈打つのを感じた。それでも平静を装いながら、裕子に尋ねた。

「どんなこと?」

「なんか……ねぇ」

裕子は口ごもって視線を落とした。休憩スペースといっても、簡単な間仕切りで仕切られただけなので、店内の音が筒抜けだ。喧騒の中で短い沈黙が流れた後、裕子は意を決したように口を開いた。

「なんか……裕子さんって可愛いねとか、美人だねとか。そんな感じ」

『まさか』から『やはり』に変わった。裕子は悲しげな表情でジッとこちらを見ている。私が何を言っていいのかわからず黙っていると、裕子はため息をついた。

「ねぇ、どうすればいい?」

裕子はすがるように呟いた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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