六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編34】打ち明けた、とある『作戦』

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「また四人で打ちに行こうよって恵が言ってるけど、どうする?」

裕子は身体を横向きにして、携帯電話で口元を押さえた。その物憂げな表情から、裕子が私に対してどういう答えを求めているのかは、おおむね想像できた。

「イヤなんでしょ?」

私はテレビのリモコンを操作し、音量を絞った。裕子は体を起こし、胸元に抱え込んだ枕に顎を乗せた。

「うーん……。三人でだったらいいよ」

裕子は伏し目がちに言った。

「俺はいらないってこと?」

「そうじゃないでしょ!」

「冗談だよ、ゴメン。わかってる」

裕子は枕を抱えたまま、またゆっくりとベッドに倒れこんだ。私は、ほとんど音の聞こえないテレビをぼんやりと眺めた。

阿久津さんと大神田さんの『ノリ打ち』がうまくいっているようであれば、私と裕子も取り入れようかと考えていた。実際、あの二人のノリ打ちはそれなりにうまくいっているようにも見える。一方がノーマル機で手堅く勝ちを目指し、もう一方がAT機で大勝ちを狙う。実に合理的だ。

だが、私と裕子のあいだでノリ打ちを取り入れるには、私の中にくすぶる疑問を解消しなければならない。私はベッド寝転がる裕子の目をじっと見つめた。

「もう一回、四人で打ちに行こうか」

「えー!ヤダよぉ!」

裕子は枕に顔を埋めて、まるで駄々っ子のように両足をバタつかせた。

「だって、こんなこと言ったら恵に悪いけど、あの人……なんか怖いんだもん」

確かに、大神田さんはその長身と爽やかな笑顔の裏側には、何を考えているのか分からない、得体の知れない怖さがある。

「そうだね。大神田さんは確かに、なんとなく怖い、っていうか気持ち悪いよね」

裕子は上体を起こして、無言で大きく二度頷いた。

「だからさ……だからこそ、もう一回だけ四人で打ちに行ってみない?」

裕子は訝しげな表情でこちらを見た。私はテレビの電源を消し、裕子にとある『作戦』を打ち明けた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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