六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編36】ウソついてるっていうの!?

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私は左手でヘソのあたりをさすりながら、続けた。

「俺も昔、虫垂炎で入院したことがあるんだけどさ。最近の虫垂炎の手術は『腹腔鏡手術』が主流なんだよ。昔みたいにお腹の右下を開腹するやり方じゃなくてね。その『腹腔鏡手術』でやると、入院後4日くらいで退院できちゃうんだよ。俺もそうだった」

「それで?」

裕子は訝しげな表情で私の顔をじっと見つめている。私も目をそらさず、核心に迫った。

「だから、阿久津さんのお母さんが退院したっていう日から逆算すると、入院した日は俺ら四人がデパートで出会った日の前日くらいってことになるんじゃないかな」

「……で?」

裕子の顔から表情が消え、冷たい視線だけがこちらに注がれる。私は、余計なことを言ってしまったことを後悔しつつも、もはや後に引くこともできなかった。

「だからさ、お母さんが入院した翌日にノコノコ彼氏とデートしてるっていうのがさ、ちょっと時系列的に不自然なような気がしないでもないっていうか……」

私がそこまで言うと、裕子は抱えていた枕を膝に叩きつけた。

「何!恵がアタシにウソついてるっていうの!?いくら正吾でも怒るよ!」

「ゴメン!本当にゴメン!そういうつもりで言ったんじゃないんだよ」

「じゃあどういうつもりよ!このアホ正吾!大体、仮にそうだったとしても、その日お金持ってなかったことと全然関係無いじゃん!むしろお金持ってなきゃオカシイじゃん!」

私は、激昂する裕子の手を握り、言った。

「だから、だよ」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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