六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編41】『シャイニング』かよ

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微妙な空気のまま小一時間ほど世間話をしていると、列の先頭のほうが騒がしくなった。携帯電話を開くと、あと二分で午前十時になるところだった。

「一名様ずつのご入場となります!絶対に!店内で走らないようにお願いします!」

自動ドアを二十センチほど開けて、そこから顔だけを出した店員が大声で叫んだ。その様子を見て、思わず私は、

「『シャイニング』かよ」

と呟いた。私の言葉に、大神田さんは口に手を当てて吹き出した。裕子と阿久津さんは何のことか分からなかったようで、ぽかんとしている。

「ジャック・ニコルソンみたいですよね」

大神田さんが笑いながら私に言った。私は何も言わず口角を上げて二三度頷いた。いけすかない奴だとは思いつつも、こういうところでうっかり同調してしまったことが少し悔しかった。

「何?『シャイニング』って?」

裕子が私の顔を覗き込んだ。

「昔ね、『シャイニング』って映画があってさ……って、もう入場するから、あとで説明するよ」

私は裕子の背後から両肩に手を乗せ、列の流れに倣って前進した。あと二十人ほどで入店というところで裕子が顔をこちらに向け、耳打ちしてきた。

「どうすればいい?」

「とりあえず、サラ金とコンチのシマで迷ってるフリして……逆側に。できれば一台ずらした背後の台」

私が耳打ちすると、裕子は小さく頷いた。列が動き、大神田さんと阿久津さんが入店した。それに続いて、裕子はサラ金とコンチのシマへゆっくりと歩いた。私はその背中を軽く叩いてタイムクロスのシマを目指した。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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