六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編45】引き強いねぇ、アナタも

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「引きだけは強いんだよ」

裕子はそう言って笑った。私は四枚のコインを灰皿へと戻し、裕子の耳元に顔を近づけた。

「何か変なこと言われたりしなかった?」

裕子は眉をひそめ、私の首元をつかんで引き寄せた。

「なんか最初になれなれしく話しかけられたから、冷たくあしらってやった。そしたら、コレくれた」

裕子の指差した先には、ドリンクホルダーに置かれたコーラがあった。

「マジで?俺と阿久津さんのとこには顔も見せてないよ?」

裕子は口を曲げて肩をすくめた。私は腰を伸ばし、ゆっくりと振り返った。それに気がついたのか、コンチ4Xを遊戯していた大神田さんがこちらを振り返った。私は軽く会釈をして、すぐに目をそらした。大神田さんも私に話しかける気は無さそうだ。私は裕子の肩に手を乗せた。

「AT機は何があるかわかんないから、引き続きよろしくね」

「何があるのよ?」

「そりゃあ、全部ノマれることもあるかもしれないじゃん」

「アタシはノマれないよ」

「そりゃあ、あなたはそうかもしれないけど……」

そこまで言うと、裕子は肩に乗せていた私の手をポンポンと二度叩いた。

「大丈夫、わかってる。ここまできたら最後までやるよ」

裕子は無表情で言った。その目は少し淋しげに見えた。

「なんだったら二箱目に突入したらヤメてもいいよ。たぶんノマれないだろうから」

「大丈夫!アタシに任せなさい!それより、恵を頼んだよ!」

裕子の声は力強かった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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