六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編49】果たして、初手の正解は

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「恵はどんな感じ?」

裕子は湯のみに粉末のお茶を入れ、熱湯を注いだ。

「あんまり調子良くなさそうだね。なんとか持ちコインは確保したってとこかな。俺は高設定つかんだっぽいんだけどね」

私は取り皿を二枚並べ、醤油を垂らした。裕子は口をすぼめて「ふーん」と頷いた。

「そっちはどうなの?」

「アタシは二千枚弱くらい持ってるよ。設定はわかんないけど。あちらさんは追加投資はないみたいだけど、ずっとドル箱上げたり下げたりしてる。あ、すみませーん!中トロとサバくださーい!」

「いきなり中トロなんか食べるの?」

「いいの!食べたいネタを食べたいだけ食べるのが江戸っ子の粋ってもんなの!」

裕子は割り箸を二本取り、一本を私の取り皿へと置いた。

「自由が丘育ちの江戸っ子ねぇ……。すみません、カンパチと穴子ください」

「うわっ、タレ付いてるネタ最初に食べるの?信じらんない」

「いいじゃん、食べたいんだよ。粋だろ?そんなことよりさ……」

私は取り皿をもう一つ並べ、そこにガリを山盛りに盛った。それを箸で一枚つまみ、口の中に放り込んだ。爽やかな酸味が口の中に広がる。これで口の中がコーラから寿司モードに変換された。

「あれから何か話しかけられた?」

私は一瞬だけ視線を正面へと向けた。視線の先には阿久津さんと大神田さんがいた。裕子は寿司が流れてくる上流をぼんやりと眺めたまま、小さく口を開いた。

「話しかけられたよ、何回も」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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