六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編57】ジャグラーガール、無いんか

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しばらく、高垣さんとお互いの近況を報告し合った。といっても、私の方はこれといって変化のない毎日を過ごしていたので、特に伝えることはなかった。高垣さんは相変わらず大阪でもジャグラーを打っているらしかった。当然のように、ジャグラーガールの――ガコッ!――という告知音も体験していた。

「この店、ジャグラーガール入っとらんのやなぁ。最近はあればっかり打っとったんやけどな」

「あれ、いいですよね。僕も他の店でよく打ちますよ……」

そこまで言ったところで、高垣さんの背後に気配を感じた。視線をそちらに向けると、そこには小さく肩をすくめた裕子の姿があった。

「どうした?」

私が尋ねると、裕子は高垣さんの顔を少しだけ覗きこんでから、私の元へと歩み寄ってきた。

「彼女さん、久しぶりやな!」

高垣さんは手を額のあたりに上げて、裕子に言った。裕子は目を丸くして私の顔を見上げた。目の前のサラリーマンのことを覚えていないという表情だ。

「こちら高垣さんね。前にさ、俺が焼肉奢ってもらったって話、したでしょ?その人だよ」

裕子は口を丸くし、二三度頷いてから、高垣さんに会釈した。明らかに思い出せていない様子だ。高垣さんが生まれつき色弱で、光っていないGOGO!ランプをのぞき込んでいたというエピソードは、裕子にも以前伝えていた。それを裕子に言えばハッキリと思い出すだろうが、今この場でその話をするまでもないと思い、留めておいた。

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長崎 正吾

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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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