六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編58】設定『5』打ちませんか?

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「どうしたの?これ飲む?」

私がさっき買った緑茶を差し出すと、裕子は首を振った。

「彼女さん、サラ金の『5』掴んだわりには出てなかったみたいやな。閉店まで時間ないから頑張ってブン回さな!」

高垣さんレバーを叩く仕草をして笑った。裕子は苦笑いをして私の顔を見た。

「あのね……」

「何?」

「もうすぐ十九時になっちゃうよね」

「そうだね、どうしようかねぇ」

私は顎を掻きながら、肘に絡みついてくる裕子を見下ろした。高垣さんはニコニコと私達のやりとりを見守っている。

「なんか……言いにくいんだけど」

「何?」

「AT100ゲーム引いた……」

「マジで!こんなタイミングで?」

「だって仕方ないじゃん!打ってろっていうから打ってたら引いたんだもん!しかも高確Bにいるような気がする……」

「あちゃー……」

私は思わず天を仰いだ。これでいよいよ終われなくなってしまった。さすがに今日は閉店まで打つしかないかと頭を抱えていると、私たちの会話を聞いていた高垣さんが口を開いた。

「彼女さん、閉店コースか!なんや、長崎くんと久しぶりに会えたんやから、今度は彼女さんも一緒にステーキでも食いに行こうかと思っとったんやけどなぁ。さすが、引き強いな!」

高垣さんは両手をスラックスのポケットに突っ込んで、少し寂しそうに肩をすくめた。その時、私の脳裏にあることが思い浮かんだ。私は黙って裕子の目を見つめた。裕子は不思議そうな表情でこちらを見返した。

私はゆっくりと顔を上げ、高垣さんの方を向いた。

「高垣さん、サラ金の設定『5』打ちませんか?しかもAT中です」

→NEXT【乗打編59】『時速5000枚』ですから

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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