六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編61】ウィンちゃんは情緒不安定

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コンチ4Xのシマの端まで走ると、大神田さんの姿があった。たった今、コインを流し終えたところのようだ。私に気がつくと、大神田さんは蔑むような目でこちらを見下ろした。

「お二人がいなくなっちゃったんで、先に流しちゃいましたよ」

そう言って、大神田さんは人差し指と中指で挟んだレシートを私の顔の前に突き出してきた。そのレシートがあまりにも顔に近かったので焦点が合わず、私はマイケル・ジャクソンばりに背中を反らせた。眉をひそめてやっと焦点が合うと、そこには『1211枚』と印字されていた。

「十分じゃないですか。ちなみにプ……」

私は慌てて言葉を飲み込んだ。

「ちなみに……僕もそれくらいの枚数だと思います。朝の時点ではもっと勝てると思ったんですけどねぇ。今日のウィンちゃんは情緒不安定でした」

私が言うと、大神田さんは鼻を鳴らした。

「僕らも今からコイン流すんで、もうちょっと待っててください」

私は大神田さんの脇を抜け、タイムクロスのシマへと向かった。タイムクロスと大花火の間の通路に入ると、ちょうど阿久津さんがドル箱を持ってこちらに歩いてくるところだった。なんともタイミングの悪いカップルだ。

私に気がつくと、阿久津さんは笑顔でドル箱を少し挙げてみせた。およそ1200枚から1300枚といったところだろうか。決して高設定というわけではなかっただろうから、この結果はさすがとしか言いようがない。

私は阿久津さんをコインジェットの方へと促し、その後をついて歩いた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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