六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編64】「今日の分は?」

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「結局、正吾が一番勝ったんじゃない?」

不意に、裕子が口火を切った。裕子の顔が風俗店のネオンに照らされ、朱く染まる。

「あぁ、もしかしたらそうかもね。でも、裕子が閉店まで打ってたら絶対一番になってるよ。サラ金の『5』だからね」

「ホントだよ!それにしても、あの設定札ってなんなんだろうね。札が刺さるまでは全然ダメだったのに、札が刺されてから突然爆発し始めたりするじゃん!あの現象は一体何なの?」

裕子は後ろの二人を振り返った。

「わかるわかる!そういうこと、よくあるよね。私も前にあったよ」

阿久津さんが答えた。楽しそうに話す阿久津さんの顔を見て、私は少しだけ胸が痛んだ。だが、ここまできて後には引けない。私は裕子の手を引き、大通りへと出た。ここから50メートルほど歩いた先にある楽器屋の角を曲がるとすぐに、『とり勝』がある。私は呼吸を整えて、タイミングをはかった。

楽器屋の20メートルほど手前で、人通りが途切れた。私は歩く速度を緩めて、顔だけを後ろの二人へと向けた。同時に、裕子が私の手を強く握りしめた。裕子が背中を押してくれたような気がした。私は意を決して、言葉を吐き出した。

「そういえば……お二人って、今日もノリ打ちだったんですよね?どんな感じの収支になったんですか?」

私が言うと、二人は顔を見合わせた。

「そういえばそうだったね。恵、今日の分は?」

大神田さんは、ポケットに手を突っ込んだまま、阿久津さんに言った。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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