六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編68】『確信犯』と、四人の行方

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「勘違いしてただけだよね?」

思いもよらない阿久津さんの発言に、私は言葉を失った。

「ね?勘違いしてただけだよね?ホラ、そうだ!昨日さ、昨日も二万円くらい使ってたよね?それを今日の金額と勘違いしたんだよね?」

阿久津さんはすがりつくように大神田さんを擁護し始めた。目の前で繰り広げられている光景を、私は理解できなかった。

「恵!勘違いなワケないじゃん!絶対、確信犯だよ!」

裕子が訴えた。私は、阿久津さんの理解不能な行動を目の当たりにして妙に冷静さを取り戻していたためか、その『確信犯』の使い方は誤用だ、などと愚にもつかないことが頭をよぎった。

「待って裕子。そんなに決め付けないで。ね?勘違いだよね?」

裕子は押し黙った。私と裕子には100%と言える確信がある。絶対に『確信犯』だ。だが、当事者が揃って勘違いだと言うならば、部外者である私たちにはどうすることもできない。

阿久津さんは今にも泣き出しそうな顔で大神田さんの右腕を揺さぶるが、大神田さんは目を閉じ、黙って頭を掻いている。そんな態度に業を煮やした裕子が強い口調で訊いた。

「どうなのよ!答えてあげなさいよ!」

バイクの排気音にも勝るその声に、大神田さんの眉がピクリと動き、ゆっくりと目を開いた。

「あーそうだった」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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