六本木ヒルズからの七転八倒

【乗打編74】報告に行くでしょ、普通

←BACK【乗打編73】和風パスタもどき

結局、美味くもない『和風パスタもどき』を全て腹の中に収めた。満足度の低い食事にイマイチ納得がいかなかったが、ひとまず落ち着くことができた。裕子の背中越しに『ごきげんよう』をぼんやりと眺めていると、CMに入ったところで裕子が口を開いた。

「恵の投資金額までチェックしてるとは思わなかったよ」

「あぁ……あれね。あれは、なんとなく数えてただけなんだけどね」

私は口からでまかせで取り繕った。ちょうどその時、シアトル・マリナーズに移籍した『大魔神・佐々木』がテレビに映しだされた。その背中には、昨日、阿久津さんの投資額をチェックした時に表示されたクレジットと同じ『22』があった。私はペットボトルの底に残った緑茶を飲み干して、裕子の背中に語りかけた。

「普通さ、連れ打ちとかノリ打ちしてる時ってさ、自分以外の人の状況って気になるものだと思うんだよ」

裕子は身体をくるりと九十度回転させて、顔をこちらに向けた。私は裕子の顔を見て、続けた。

「俺と裕子が一緒に打ってる時もさ、トイレ行くついでとか飲み物買う時とか、デカいフラグ引いた時なんかにさ、報告に行くじゃん。相方の状況確認の意味も込めてさ」

「……まぁね」

裕子は腑に落ちないような顔で答えた。

「でも、あの二人ってさ、打ち始めてから食事休憩まで一切コンタクト取らなかったよね。それって結構めずらしい……というか、異様な気がするんだよね」

私の言葉に裕子は眉をひそめた。

「それって……どういうこと?」

「だからさ……」

→NEXT【乗打編75】知ってたんじゃないかな

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

9月≫
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

戻る