六本木ヒルズからの七転八倒

【人魚編03】「プチマーメイドっス!!」

「あの時の女の子も一緒に行きたいって言ってるスけど、いいッスか?」

二度目のスロットを翌日に控えた金曜日、仕事中に堀口からそう打診された。私はあくまでも、自分一人では行けない場所に連れて行ってもらっているという立場なので、当然ダメとは言えなかった。

私に何か不利益があるわけでもないし、同僚の「4人目の彼女」というのも見てみたいという気持ちもあった。

当日、堀口に連れられてマクドナルドに現れた女性は、腰まで伸びるロングヘアを後で結び、基礎メイクすらしていないすっぴん顔だった。年の頃なら三十路を少し越えたくらいか。紺のワンピースにLOUIS VUITTONのバッグを携え、気さくな笑顔「千夏です」と挨拶してくれた。

酸いも甘いも噛み分けた大人の女性であるが故に、堀口が醸し出す「ヒモ気質」……もとい「弟気質」に惚れてしまったのだろうか。

千夏さんは目が若干離れ気味で、笑うときは口を大きく横に開いた。女性に対してこのような感想を抱くことは誠に失礼ではあるが、少しだけ「魚っぽい顔だな」と思ってしまった。

「プチマーメイドっス!!」

……おい堀口よ。自分の彼女に対して「小さな人魚」とはいくらなんでもヒド過ぎではないか?確かに私は「魚っぽい顔だな」と思ったが……

「プチマーメイドっス!!今日打つ機種っス!!」

……二人には心から謝罪したい。

今日打つ機種は「プチマーメイド」というらしい。この機種は前回打ったクランキーコンドルよりも遥かに分かりやすいとのこと。

「最初は俺も隣で打つんで大丈夫ッスよ!」

私はまだ目押しもできないヨチヨチ歩きなので、横にいてくれるのは素直にありがたい。千夏さんはクランキーコンドルを打つという。まぁその方がお互いに気を使わなくて済むのでこれもありがたかった。

9時40分。朝マックを胃袋に収めた我々は、『デルタ』の店頭にできた列の最後尾に並ぶことにした。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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