六本木ヒルズからの七転八倒

【人魚編07】高揚感

さっきまでは頑なに揃わなかった金髪の人魚が「キラッ…キラッ…ハイッ!」の掛け声に呼応するかのように、スルリと一直線に揃った。人生初のビッグボーナスだ。

隣にいる182cmの男と一緒に「キラッ…キラッ…ハイッ!」と声を合わせる様は、傍から見たらお遊戯を教える保育士さんと、それに従う幼稚園児のようだっただろう。だがそれでいい。今はまだ幼稚園児なのだから。

「おぉ!!やった!!ありがとう、堀口!!」

私は素直な気持ちを伝えた。なんだかんだ言っても堀口がいなかったら、この感動を味わうことはできなかったのだから。

「よかったッスね!あとは適当打ちでオッケーッスよ!」

堀口はまるで自分ことのように喜んでくれた。前回、一度も大当たりを引かせてやれなかった負い目を感じていたのだろうか。そんな感情を抱く必要などないのだが、これも彼の人の良さだろう。

私は堀口に言われたとおり、左リールから順にストップボタンを適当に押す。

『サメ・サメ・サメ』
『貝殻・貝殻・貝殻』
『貝殻・貝殻・貝殻』

いとも簡単に図柄が揃い、そのたびに勢い良くコインが吐き出される。同時に、軽快な音楽と光の演出で私を祝福してくれる。今までは減るばかりだったコインがもの凄いスピードで増えていく。

これは麻雀で役満をあがった時も、競馬で馬券が当たった時でも味わえなかった、なんとも言えない独特の高揚感がある。周りの客達から浴びせられる羨望と嫉妬が入り混じった視線も、普段の生活ではなかなか感じられない優越感に浸らせてくれる。

――スロットって……やっぱりオモシロイかも

→NEXT【人魚編08】「まだまだ出るッスよ!」

  • 高揚感と優越感に包まれた高揚感と優越感に包まれた

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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