六本木ヒルズからの七転八倒

【人魚編11】オモシロイな!スロットって!

「あとはまた適当押しでOKッスよ!」

堀口も私の成長を見て、喜んでくれているようだ。なんだかんだ言っても本当にイイ奴だ。ときどき私の頭の中に湧き上がる、君に対する放言を許して欲しい。すまなかった。

確かな手応えと堀口の偉大さを噛みしめながら、初めてのレギュラーを消化する。この時私は、自分自身のスロットスキルが上昇していることに大きな喜びを感じていた。もちろん、厳密に言えば『BAR』は『揃えられたが、見えてはいない』という状態ではあるのだが、そうだとしても大きなスキルアップには変わりない。

「堀口ぃ!スロットって結構おもしろいね!」

私は自分の顔が紅潮し、耳まで赤くなっていることを自覚できた。外見的には平静を装ってはいたが、内心ではそれほどまでの興奮状態だったのだ。前回来たときは「もうスロットなんてやらない」とまで思ったが、その時はスロットの楽しさの1%も体験できていなかったのだろう。

だが今は違う。ボーナスを引き当て、自力で揃え、コインを獲得するというスロットにおける『快感』を覚えた今は、1ゲームでも多く回したいとすら思える。

「あれ?もう終わりか……」

愉悦の中で消化していた私の初レギュラーは、ビッグボーナスの3分の1ということもあって、あっさりと終了した。

レギュラーを消化し終えると、台は一瞬にして静寂へと帰る。さきほどまで美しい光を放っていた貝殻も、今はまた闇に包まれている。だが、立て続けに二度もボーナスを引き当てた私には、今にもこの貝殻が光り出しそうに感じられた。

もはや、今ヤメたらいくらプラスかな?などという姑息な考えは吹き飛んだ。私はすっかりスロットというものに魅了されてしまったのだ。

こんなところでヤメる気など毛頭ない私が、当然のようにベットボタンを三回叩いたとき、隣で携帯を弄っていた堀口がおもむろに立ち上がった。

「もう大丈夫みたいッスね!それじゃ!」

「えっ!?」

→NEXT【人魚編12】小指を立てるなよ・・・

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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