六本木ヒルズからの七転八倒

【人魚編21】だんごどっこいしょ

プチマーメイドのシマに戻った私は、自席に座らず立ったままでデータロボを確認した。

――ビッグが10で、レギュラーが3、ゲーム数が……

堀口に教えられたとおりに『データ』と書かれたボタンを押すと、「1836」と表示された。

――10の3の1836……ジュウのサンのイチハチサンロク

私はその数字を復唱しながら堀口の元へと急いだ。こうして何かを忘れないように復唱していると、いつも「だんごどっこいしょ」という昔話を思い出してしまう。

初めて食べた「だんご」という食べ物を忘れないように復唱しながら帰宅していると、小川を飛び越えた拍子に口をついて出た「どっこいしょ」という言葉に置き変わってしまったという話だ。

――ジュウのサンのイチハチサンロク、ジュウの……あれ?紙パックのコーヒーが130円もするのか。高いな。ヒャクサンロク……アレ??

階段の踊場で足を止めてもう一度数字を思い出す。――ジュウのサンのイチハチサンロク――よし、大丈夫だ。小走りで階段を上り、クランキーコンドルのシマへと入っていく。

「堀口、えーと、ビッグが10のレギュラーが3で1836だね、ゲーム数が」

「ビッグのヒキ強いッスね!結構出てるんじゃないッスか?」

「全部で一箱分くらいはまだあるかな」

「でもレギュラー全然引けてないッスね」

「そうなの?でもレギュラーいらなくない?コイン少ないし」

「確かにそうなんスけど、そういうもんでもないんスよねぇ……」

堀口はアゴのあたりを掻きながらそう言うと、キョロキョロと周りの台を見回した。

「やっぱりあんまり出てないッスよねぇ」

周りの台があまり出ていないことを確認した堀口は、右手に持っていたコインを台に投入すると、今度は頭を掻きながらレバーを叩いた。そして、左リールの上段に青7をピタリと停止させてから、くるりと私の方を向いた。

「打ち続けたら、もしかしたら全部ノマれるかもしれないッスね」

「え!そうなの!?」

→NEXT【人魚編22】耐え難きハマリ

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

3月≫
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

戻る