六本木ヒルズからの七転八倒

【人魚編22】耐え難きハマリ

「これだけ出てても全部ノマれることなんてあり得るの?」

「結構あるッスよ!」

堀口は回転していた中リールと右リールをトンットンッと停止させ、私の方を振り返った。

「レギュラー全然引けてないッスからね。もう少しだけ様子見て、ダメそうならヤメた方がいいかもしれないッスね!」

「そっか、とりあえず分かったよ」

私がそう言うと、堀口はニヒルな笑みを浮かべ、まるでトップガンのパイロットのように親指を立てた。私もそれに応えてビシっと右手の親指を立てた。隣で千夏さんも控えめに同じポーズを取ってくれた。なんだか可愛らしいところのある人だ。

――もう少し様子を見るって言ったってねぇ

プチマーメイドの元へと戻った私は、データロボを見上げながら頭を掻いた。もう少しとは一体どれくらいのことなのか。何ゲーム?何分?ビッグ引くまで?キチンと「ここまで」という基準を聞いてくるべきだったか。だからといってもう一度堀口に聞いてくるのは正直面倒だ。

私は、よく分からない「様子」というものを見ながら、打ち続けることにした。

――500

データロボは無情にも、その数字を増やす仕事しかしない。

――550

下皿に移したコインも全てノマれ、虎の子の一箱へと手が掛かった。

――600

このデータロボが四桁の数字も表示できることに気が付き、動悸が激しくなる。

ダメだ、これ以上コインが減っていくことに耐えられない。もうヤメよう……とは思うのだが、次のゲームで左下の貝殻が光るんじゃないかと思うと「あと1ゲームだけ、あと1ゲームだけ」とズルズルと打ち続けてしまう。

こんなことじゃダメだ。650ゲームと決めよう。650ゲームまでにボーナスを引けなければヤメてしまおう。潔いのか未練たらしいのか、どちらともつかない決断をし、残りゲームを消化していく。

――あと50ゲーム……

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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