六本木ヒルズからの七転八倒

【人魚編25】なんだコノ機械?

堀口を連れ立ってプチマーメイドの自席に戻ってきた私は、下皿に残っていたコインをすべて箱に移した。ふと、パネルの左下でひっそりと佇む貝殻が目に入った。冷静になって見ると、ずいぶんとチープな絵だ。だが、そのチープな絵に魅了されたこともまた事実。

――今日はありがとう。また逢おう。

左手の親指で貝殻を少しだけ撫で、今生の別れではないことを伝えてから席を立つ。

「こっちッス!」

堀口に促されるままについて行くと、ジャグラーのシマの端に置かれた機械の前にたどり着いた。その機械は、直径20cmくらいの穴が左右に並んでふたつあり、その右側に緑と黄色のボタンが付いていた。

「まず、緑のボタン押すんスよ!」

堀口が緑のボタンを押すと、左右の穴の底がレコードプレーヤーのように回転を始めた。

「流していいッスよ!」

そう言って堀口は、回転する穴を指差した。

私は初めて見る機械に関心しつつ、コインの入った箱をふたつの穴に向けて傾けた。はじめの数枚のコインが穴の底に到達すると、回転する底板に弾かれ、すぐに見えなくなった。それと同時に、機械の中央にある液晶画面の数字が表示された。

「へー、こういう仕組みなのか」

「一気に全部いって大丈夫ッスよ!」

「あ、そうなんだ。じゃあ」

堀口に言われるままに、私は箱を穴の上でひっくり返した。穴に入ったコインは鳴門の渦潮のようにグルグルと回りながら、少しずつ嵩が減っていった。それと反比例して、液晶画面の数字は勢いよく増加していく。これは何とも気持ちの良い時間ではないか。言うなれば、本日の成績発表といったところか。

――100
――200
――300
――400

「こいこいこい!もっとこいッ!!」

→NEXT【人魚編26】1000枚超えろッ!!

  • DJのターンテーブルみたいなモンかDJのターンテーブルみたいなモンか

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長崎 正吾

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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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