六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編02】首都高の下にバスケットコート

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なぜ急に働く気になったのだろうか。都営大江戸線の車内で中吊り広告を眺めながら、ふと自問してみた。

少し前に、後輩の木部から就職したことを報せるメールを受け取った。おめでとうと当り障りのない内容で返事をした。どういった業界に就職したのかすら訊かなかった。訊いてもわからないような気がしたからだ。

先月、先々月とスロットの調子が悪かった。とはいえ負け越したわけではなく、いつもより勝ち額が少なかったという程度だ。生活に困るほどではなかった。

それ以外にも思い当たるふしが無いではなかった。だが結局のところ、今のスロプー生活に飽きたというのがもっとも的確な気がした。

青山一丁目駅で半蔵門線に乗り換えた。ヘッドフォンを着けた若者が足を投げ出して座っている。その足先に触れないようにして座席に腰を下ろした。他の地下鉄に乗ると、いかに大江戸線の車内が狭いかということがわかる。足を投げ出したい気持ちもわからないでもないなと思った。

十五分ほどで電車は水天宮前駅に到着した。若者が投げ出した足のつま先を、偶然を装って軽く蹴飛ばしてからホームへと降りた。地上に出ると、頭上からけたたましい騒音が降り注いできた。顔を上げると、まるで絡みつく大蛇のように首都高が幾重にも走っていた。

首都高の下にはバスケットのコートがあった。その奥の壁には、申し訳程度にグラフィティアートが描かれている。英語のようだが、何と読むのかはさっぱりわからなかった。

しばらく歩くと、正面に隅田川が見えてきた。川の向こうには緑色の巨大な水門が見える。交差点を右に曲がり川を左手に見ながらしばらく歩くと、小さな看板が目に止まった。

私はポケットからメモ帳を取り出した。

『喫茶 ローダンセ マツモトビル五階』

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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