六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編10】コミュ障め!そっちは窓だ!

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そのメガネの奥の瞳は「なんで俺が?」とでも言いたげに大きく見開かれている。

「彼は松平快人くん。彼にいろいろと教えてもらってください」

本田は窓際の席に座る松平快人を指差して、私の背中を軽く押した。

「じゃあ快人くん、任せたよ。最初は『アダルト未成年』から教えてあげて。僕は打ち合わせがあるから皆さんよろしく」

本田は爽やかに右手を上げると、部屋から出て行ってしまった。彼の姿が見えなくなると、誰かのため息が聞こえた。

この怪しげな仕事場に放り込まれ、さらには本田の口から『アダルト未成年』などという不穏当な単語が飛び出してきた。一体これから何が始まるのか。ため息をつきたいのはこっちの方だと思わずにはいられなかった。

私は松平快人のそばまで行き、「よろしくお願いします」と精一杯の笑顔を作って会釈をした。彼は迷惑そうに視線をそらし、窓に向かって会釈を返した。

――馬鹿め!そっちは窓だ!

きっと彼には私の残像がブラインドに写って見えたのだろう。
こういう人を『コミュ障』というのだろうかと失礼ながら思ってしまった。

だが、よくよく考えてみると、私も長いスロプー生活ですっかり対人関係が苦手になってしまっている。話をするといえば、気心の知れた彼女――裕子くらいなものだ。むしろ『コミュ障』は私の方かもしれないなと思い直し、彼に対して心の中で謝罪した。

バッグを足元に置き、松平快人の隣の席に体を滑り込ませた。目の前のパソコンにはすでに電源が入っていた。小さく息を吐き出し、体ごと彼の方を向いた。

「まずは何をすればいいんで……」

「未成年」

「えっ……と」

「未成年」

やっぱりコミュ障だった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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