六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編100】ただならぬ空気

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「今日も快人は休みっぽいから、引き続き彼の仕事をやってもらえるかな」

美瑠希は無言で頷いてそれに応えた。やはり快人のことが気がかりなのだろう、彼女の顔はどこか沈んで見えた。

「じゃ、よろしくね!」

そう言い残して本田がドアに手をかけた時、本田のデスクの電話が鳴った。
それに反応して、本田はすぐにきびすを返した。

「快人からかな?電話するならもう少し早くして欲しいよな?」

本田は自席へと戻りながら、私に同意を求めてきた。
私は苦笑いを浮かべて小さく頷いた。

「お電話ありがとうございます!ネットアイズの本田が……おう、どうした?」

声のトーンが前半と後半とでは180度変わっていた。だが、そのトーンの落差が、電話の向こうにいるのが身内――快人であることを雄弁に物語っていた。

今日も仕事を休むという連絡なのだろう。昨日休んだのは失恋のショックだと思っていたが、案外本当に風邪をひいているのかもしれない。そう思い、私は美瑠希の耳元に顔を寄せた。

「快人、やっぱり風邪ひいてるんだよ」

そうささやくと、美瑠希も少しほっとしたように何度か頷いた。

今日も快人はいないが、とりあえずは平和な一日になりそうだと思い自席に座った瞬間、背後から素っ頓狂な声が飛んできた。

「はぁ?何言ってるんだよ、突然。……うん、……うん」

いつも冷静沈着な本田にしては破格の発声だった。同時に、本田の眉間に深いシワが刻まれた。

そのただならぬ空気を察知してか、気が付くと全員が仕事の手を止めて本田の一挙一動に注目していた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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