六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編102】第二休憩室

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いつもの仕事部屋を出ると、本田が第二会議室へと入っていく姿が見えた。
ここはほとんど会議らしい会議は行われておらず、実質的には『第二休憩室』として皆が昼食を取る際などに使われている場所だった。

蛍光灯の灯りが、室内を煌々と照らした。二人しかいないせいか、椅子を引く音が反響してやけにうるさく感じた。

私は入り口に一番近い椅子に腰掛けた。本田はその斜め前の椅子に座った。
なんとなく重苦しい雰囲気になるのが嫌だった私は、自ら軽い口調で口火を切った。

「さっきの電話、快人からだったんですよね?」

口にしてから、少し後悔した。何を分かりきったことを訊いているのか、と。私はすぐに言葉をつなげた。

「風邪、辛そうでしたか?快人の声とかどうでした?」

「どっちかというと、声自体は全然普通だった気がするな、今思うと。雰囲気はメチャクチャ暗かったけどな」

そう言って、本田は苦笑いを浮かべた。やはり仮病なのだろうか。そしてそれを本田も見抜いているのだろう。

「長崎くんってさ、快人とは結構仲良かったよね?」

本田はボールペンで机をコツコツと叩きながら、唐突に尋ねてきた。

「まぁ……それなりに良かったとは思いますけど。というか、この職場で快人と普通に話をするのって、僕と美瑠希くらいじゃないですか」

そう答えると、本田は「確かに」と言って顔をほころばせた。
だが、本田のほころんだ表情も、すぐに力を失った。

「じゃあ……さ。ちょっと頼みがあるんだけど。個人的に快人に電話してみてもらえるかな?」

本田は椅子に浅く座り直し、体を乗り出して言った。
私は、嫌な予感が徐々に確信に変わるのを感じていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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