六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編103】手刀で顔面真っ二つ

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「どうしてですか?快人に何かあったんですか?」

私は、自分の中にある答えをあえて出さずに、本田に尋ねた。

本田は大きく息を吐き出し、背もたれに体を預けた。
そして、口の前に人差し指を立ててから、ゆっくりと口を開いた。

「彼、仕事辞めたいって言い出してさ……」

本田の口から発せられた理由は、私の想像していたそれとピタリと一致していた。どうせそんなことだろうと予想はしていたものの、それが現実のものとして突きつけられるとなかなかショックが大きい。

私は冷静さを保ちつつ、驚いたことを伝えるために、眉を跳ね上げて目を大きく見開いて見せた。

「それって……さっきの電話で快人が言ったんですか?」

「そう、突然ね。昨日の電話の時は風邪で休むとしか言ってなかったんだけど」

本田はそれだけ言うと、口を真一文字に結び、瞑想でもするかのように深く目を閉じた。
私は何と言っていいのか分からず、黙って本田の次の言葉を待った。

扉の向こうで人の話し声が聞こえてきた。静かな会議室の中にいると、ここだけ時間が止まっているような錯覚を覚えるが、そんなはずもなく。
本田は腕時計に目をやった。

「とりあえず、電話するだけしてみてくれないかな。そして何が原因なのかをそれとなく探ってみて欲しいんだよ。前に快人が辞めるとか言い出した時も、長崎くんの説得で思いとどまったでしょ。正直、今このタイミングで快人に辞められると面倒なんだよね。頼むよ」

本田は顔の前で手刀を立てた。
私は力なく「はぁ」と答えるのが精一杯だった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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