六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編104】スロプーに戻りたい

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面倒な仕事を押し付けて帰る上司さながらに、本田は会議のために本社へ足早に向かっていった。実際、面倒な仕事だ。快人に電話すること自体はやぶさかではないが、一体どう訊けというのか。私は、快人が仕事を辞めたいと言い出した本当の理由を、おそらく知っているのだ。

こんなことなら美瑠希からあんな話を聞かなければよかった。
今さら悔やんでも遅すぎるのだが、そう思わずにはいられなかった。

私はポケットから携帯電話を取り出した。連絡先一覧から快人の番号を探しだすのに要した時間は、この部屋の冷たい空気を一度吸って吐き出すほどの短いものだった。それくらい、私の電話帳に記載されている項目は少ないのだ。

快人の番号を選択し、通話ボタンを……押そうとしたが、直前で思いとどまった。少し考えをまとめてからにした方が良いだろうと思ったからだ。

私は会議室の端に設置されている自動販売機で、カフェオレを購入した。朝、ここに来る前にコンビニでも一本購入しているから、都合二本になってしまった。
プルタブを指で弾くと、心地良い開封音が室内に響いた。

カフェオレを喉に流し込む。一人でこの味を味わっていると、いつもスロプーだった頃を思い出す。スロプーの頃は、全てが楽しかった。誰にも気を使わず、理不尽な要求をされることも無い。煩わしい人間関係も無かった。

やはり自分には会社勤めは向いていないのではないだろうか。いっそのこと、スロプーに戻ろうか。

そんな思いをカフェオレで腹の底に押し流し、私は会議室を出て仕事部屋へと戻った。

タイミングを見計らって、美瑠希に話しておこう。
快人に電話するのはその後でいい。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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