六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編109】惣菜の前に甘味

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「向こうのベンチにしようか」

私は、まだその住人の存在に気づいていない美瑠希を半ば強制的にもう一つのベンチへと誘導した。美瑠希はいぶかしげな表情を浮かべながらもトコトコと後ろをついて来てくれた。

横目で住人を確認すると、ゴソゴソと自分の『家』へと戻っていったようだった。
そもそも、なぜこちらが気を使わなければならないのかという疑問が湧いたが、今重要なのはそんなことではない。

「ねぇ……快人、本当に辞めちゃうかな?」

振り返ると、口を突き出して目尻を下げる美瑠希の姿がそこにあった。
公園の奥にあるもうひとつのベンチに腰を掛ける。コンビニの袋を真ん中に挟んで、反対側に美瑠希が座った。

私は心を落ち着けるためにひとつため息をついて、ポケットから携帯電話を取り出した。

「今から電話するけど、美瑠希はどうして欲しい?」

「どうして欲しいって?」

「だから、快人をなんとしてでも引き止めた方が良いのか、それともこのまま辞めてもらっちゃった方が良いのか……」

私は口に出してから、もう少し別の言い方は無かったのかと後悔した。案の定、美瑠希は困ったように眉を八の字に曲げ、口をつぐんでしまった。

「まぁ……さっきも言ったけど、別に美瑠希のせいじゃないから気にしなくてもいいと思うよ。快人だって立派なオトナなんだからさ」

慌てて取り繕いつつ、コンビニの袋からジャムパンを取り出した。一口かぶりつくと、給食を思い出させる懐かしい味が広がった。やはり、パンは奇をてらったものよりも、こういったベーシックなものに限る。

「ジャムパンから食べるの?普通はお惣菜パンが先じゃない?変なの」

美瑠希の冷静な突っ込みに、私は思わず口に入れたパンを吹き出しそうになった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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