六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編114】言っちゃったよ……

←BACKパソコン版【入札編113】鳩じゃないんだから
←BACKスマホ版【入札編113】鳩じゃないんだから

予想外の答えに思わず大きな声が出た。お世辞にもコミュニケーション能力が高いとは言えない快人が、そんな行動を取っていたことに驚きを隠せなかった。
ネットゲーム上での結婚歴といい、快人はライトな人間関係を築く方が得意なのだろう。

視線を正面に戻すと、アウトドア派のおじさんがじっとこちらを見つめていた。
私は、美瑠希との間に置いていたコンビニ袋に入ったお惣菜パンを、静かに自分の方へと引き寄せた。

話が思わぬ方へ展開しそうになったが、とりあえず話しやすい雰囲気は作れただろう。
私はあらためて快人に話の続きを促した。

「本田さんから聞いてない……って、何のこと?」

一瞬、横目で美瑠希の顔を覗き込む。美瑠希は眉を八の字に曲げて困ったような表情を浮かべている。不謹慎ながらも、ちょっとカワイイなと思ってしまった。

そんなよこしまな私の思いをかき消すように、快人が息を大きく吸う音が聞こえた。

「俺、仕事辞めるから」

知っていたとはいえ、本人の口から聞くとあらためて狼狽してしまう。しかも『辞めるかもしれない』といった含みは一切無く、断定口調だったことにも驚いた。

「は?何言ってんの?」

「だから、もう『ネットアイズ』辞める」

「なんで!?いきなり何言い出してんのさ!?」

少し大げさに驚いた風に返事をしつつ、美瑠希の方を向いてゆっくりと二度頷いた。彼女も状況を把握したらしく、同じように二度頷いた。

顔を上げると、首都高がまるでのたうち回るヘビのようにからみあっていた。

→NEXTパソコン版【入札編115】やっぱり知ってるじゃん
→NEXTスマホ版【入札編115】やっぱり知ってるじゃん

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

7月≫
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

戻る