六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編123】だから社内恋愛は

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振り返るまでの短い時間で、その声の主が誰なのかが概ね想像がついた。
そして目に飛び込んできたその男は、想像通りのものだった。

「仕事中にデートかよ?」

道路と公園を隔てる金網の向こう側から、山倉がニヤニヤとこちらを眺めていた。金網の内側はこちらのはずだが、山倉の姿はさながらエサをねだる動物園のゴリラのようだった。

私が美瑠希の方に顔を向けると、彼女もこちらを見返してきた。その顔は一見すると無表情に見えるが、あきらかに山倉に対する不快感がにじみ出ていた。私は思わず吹き出しそうになったが、必死にこらえて再び山倉を見やった。

山倉は金網を揺するような仕草をして、足元に唾を吐き出した。
不愉快極まりない光景を見せられ、私はもはや山倉を会話をする気すら無くなってしまった。

「なんだよ、無視かよ?」

山倉が言い捨てる。なんて面倒くさい男だろうか。
私はこれ以上ないくらいに義務的に、僅かにあごを突き出して気の無い会釈をしてみせた。

「ケッ……」

山倉が金網を蹴り飛ばした。ガシャンと大きな音を立てて金網全体が揺れた。この公園の住人――アウトドア派のおじさんがこちらをいぶかしげに眺めている。

美瑠希はもはや山倉などいないかのように無視を決め込んでいる。
私はもう一度だけ無言で会釈をした。
山倉は金網から手を離し、会社の方へと歩き出した。

「だから社内恋愛はメンドクセーって言ったんだよ、クソが……」

山倉の大きなひとり言が、三人の間にむなしく響いた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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