六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編128】答えは「はい」か「イエス」

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耳にあてた瞬間に飛び込んできた声の主は、裕子だった。

「今、石神井公園駅に降りたとこだよ」

「ウソ!?じゃあもしかして同じ電車に乗ってた?」

裕子は子供のように声を弾ませた。
私はホームの真ん中で立ち止まり、あたりを見回した。すると、人混みの向こうに裕子の姿を見つけた。

「あ、見つけた」

「ドコ!?」

「そっちじゃない、池袋側を向いて」

「あっ!!いたっ!!」

家路を急ぐサラリーマンの群れの中で、裕子は無邪気に手招きをした。
電話をポケットに滑り込ませ、人をかき分けながら彼女の元へ向かう。だが、なぜか裕子は手招きをするばかりでこちらに向かって歩いてこようとしない。全力の笑顔で手首をブンブン振っている。

近づいてみて、その理由がなんとなくわかった。裕子の傍らのベンチには、大きな買い物袋を二つ置いてあったのだ。

「いやーナイスタイミング!!」

裕子は片方の頬を膨らませ、眉をキリッと引き締めてからおもむろに親指を立ててみせた。

「何が?」

訊くまでもなく理解はしているが、正式に依頼されるまでは決して承諾する気は無い。

「運ぶの手伝って!」

裕子は両手を顔の前でピタリと合わせて、首をカクンと傾けた。
私はその角度に合わせて無言で首を傾けた。

「んじゃ、コッチの大きい紙袋お願いね!」

まだ何の意思表示もしていないつもりだったのだが、どうやら彼女には関係なかったらしい。
私は仕方なく、何と読むのか理解できないロゴがあしらわれた大きなショッパーバッグを手に取った。

「その紙袋もあとで使うかもしれないから汚さないでよ!」

「はいはい……」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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