六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編130】今、美瑠希の名

←BACKパソコン版【入札編129】実家に『戻る』
←BACKスマホ版【入札編129】実家に『戻る』

自宅の前にたどり着き、ドアの前で一旦紙袋を置いた。

「はーらへったー、はーらへったー」

「うるさいっ。近所迷惑だろ」

妙な節を付けて空腹の歌を歌い出した裕子を軽く一喝しながら、バッグの中から家の鍵を取り出す。

カチャリという金属音を伴って、鍵が開いた。
私はゆっくりと5cmほどドアを開ける。

「なんでそんなに慎重なのよ?泥棒でもいるの?」

「あ……いや、なんでもない。いつものクセで……」

私は慌てて扉を大きく開け放った。いつもは裕子が部屋に居て、内側からチェーンロックを締めていることが多いので、ドアをゆっくり慎重に開けるクセがついてしまったようだ。

「どっこいしょっと」

靴を脱ぐと同時に、大きな紙袋をドサッと玄関口に置いた。後ろから裕子もなだれ込んでくる。

「はぁ……重かった。たかが靴と洋服でも、持って歩くとなると大変だな」

「でしょ!?だから駅でちょうど会えて良かったよ、ホントに……」

その『ホント』のあとに『ありがとう』は無いのか。だが、国語の成績が常に5だった私は、行間からその言葉を勝手に読み取ることに成功した。

「んじゃ、早速ピザの注文するか。そこの引き出しにメニューがあるから好きなの選んでいいよ」

私はそう言って、携帯電話を取り出した。
すると、ちょうどそのタイミングで携帯電話が震えだした。

画面に表示されたのは、美瑠希の名前だった。

→NEXTパソコン版【入札編131】盗み聞き
→NEXTスマホ版【入札編131】盗み聞き

→NEXTパソコン版【コラム】新宿御苑は魚園ではない【116】
→NEXTスマホ版【コラム】新宿御苑は魚園ではない【116】

 

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

3月≫
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

戻る