六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編133】じゃあまた、会社で。

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「今日はどうしたんですか?もしかして僕、何か仕事でミスってましたか?」

わざとらしく尋ねる。

――ううん、別に用があったわけじゃないんだけど……。あたし、副管理者になったからさ……

「あぁ、そうでしたね」

――だから、これからもよろしくってことを言おうと思って。

そこで、か細いながらもつながっていた会話が、プツリと途切れてしまった。
美瑠希は何かを言いたそうだったが、それを言わせないようしている自分に気づいた。

「じゃあ、山倉とかにも電話したんですか?」

私はあり得ないと分かっていながら、そんなことを尋ねた。これは美瑠希に対して言った言葉ではなく、数歩先からこちらを見つめる裕子に向けてのものだった。この女上司が電話を掛けているのは私だけではないのだというアピールのために。

――まさか。あんな奴に電話なんかするわけないじゃん。

そう言って美瑠希はカラカラと笑った。その声が裕子の耳にまで届いてしまっているのではないかと思い、気が気ではなかった。

「そうですか」

私はつとめて冷静な口調で言った。
その時、私の中で、誰が一番大切なのかを再確認した。

――それじゃあ、彼女さんによろしく伝えておいてね。じゃあまた会社で。

「はい、お疲れ様です」

私は携帯電話を耳元に押し当てたまま、目の前にある冷蔵庫に向かって会釈をした。

電話を切ると、裕子が無言でこちらを見つめてきた。

「ピザ……何頼むか決まった?」

「まだ」

そう言い残して、裕子はリビングへと戻っていった。ひとまず一難が去り、私は大きく息を吐きだした。

ふと、足元に目をやると、裕子が持ち帰った買い物袋が置かれていた。
その買い物袋には『新井薬局』と印刷されていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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