六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編136】1/100,000,000のフラグ(終)

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30分と待たずに家のチャイムが鳴った。ピザ様の到着だ。
私が会計を済ませていると、その脇から裕子がさっとピザとドリンクをかっさらってリビングへと持っていってしまった。

宅配担当の男性に小声で「ご苦労様」と伝え、扉を締める。
すぐに裕子の後を追った。チーズの香りで口の中が唾液まみれだ。

「最近、ヒマ過ぎるんですけど」

裕子はピザにかぶりつきながら不満を表明した。

「そう?じゃあどこか行く?」

「行く!どっか連れてけ!」

私が軽い気持ちで提案すると、まるで釣り堀のフナのように勢い良く食いついてきた。

それにしても宅配ピザというのは、美味い。それ相応に値が張るので頻繁に頼むことは無いが、それだけの価値はあると言わざるをえない。
私はナスとベーコンがたっぷり乗った一切れを口に運んだ。

「じゃあ……ドコに行きたいの?」

このナスと油の相性の良さは一体誰が発見したのだろうか。ナスの取扱説明書に記載されていたのだろうか。私はナスとベーコンの絶妙なハーモニーを堪能してから、ダイエットコーラで胃に流し込んだ。ピザなどという超高カロリーなものを食べていながらダイエットコーラとはこれ如何にではあるが、だからこそ、なのである。

「うーん、スロットでもいいんだけど……あっそうだ!!競馬行こうよ!!競馬場!!」

「競馬?そんなトコでいいの?」

「うん!前に一緒に行ったじゃん。また行きたい!」

うら若き乙女がデートに行くといったら浦安あたりにある某ネズミの国と相場は決まっていると思っていたが、どうやら我が家の姫様は相場とかけ離れているようだ。

「じゃあ、今度の日曜に行くか」

「やったー!決まりね、絶対だからね」

裕子の屈託のない笑顔を見ていると、私の心を覆っていた霧のようなものはいつのまにか晴れてしまっていた。

確か、人間の精液にはおよそ一億の精子が含まれていると聞いたことがある。

そこまで確率の低いフラグを引いたというのなら、開き直って喜んでもいいかなと思い始めていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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