六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編17】「可愛い娘、いた?」

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その夜、仕事を終えて帰宅すると、自宅の窓から灯りが漏れていることに気づいた。朝、慌てて家を出たので消し忘れたかなと逡巡しながらドアに鍵を差し込んだ。すると、ガンッとけたたましい音を放ってドアが10センチほど開いたところで止まってしまった。内側からチェーンが掛かっていたのだ。 

いつもの癖で勢い良く開けようとしたので、かなり大きな音が近所に響き渡ってしまった。自分が泥棒かなにかと間違われるのではないかと心配になり、辺りをぐるりと見回してから、誰もいないはずの部屋の中に声を掛けた。

「裕子?」

ドアの隙間から部屋の中をのぞき込むと、キッチンと居間を隔てる扉が開き、裕子が小走りで駆け寄ってきた。

「はいはい、今開けますから」

一度ドアを閉じると、中でチェーンを外す音が聞こえた。すぐにドアが開き、眠そうな顔をした裕子とカレーの香りが出迎えてくれた。

「カレー作ってくれたの?……っていうか、来るならメール入れといてって言ったろ」

「いいじゃん、忘れてたの。それとも、勝手に入られたら困るの?」

「そういうわけじゃないけど……」

玄関で靴を脱ぎながらそう答えた。

台所で手洗いとうがいを済ませると、すぐにコンロの上に置かれていた鍋の蓋を開けた。美味しそうなカレーが我々に食べられるのを待っているではないか。口の中に唾液が分泌される。これは一刻も早くこいつらを成仏させてやらなければならない。

私は部屋着に着替えるために、寝室へと入った。入れ替わるようにキッチンからコンロの火が付く音が聞こえた。

「すぐに食べるでしょ?」

「もちろん!」

「可愛い娘、いた?」

「もちろ……は?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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