六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編27】「女のくせに……」

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僅かに聞こえていたキーボードを叩く音が止まった。
山倉がのっそりと椅子から立ち上がった。

「なんだよ、なんか文句あんの?」

山倉が美瑠希に詰め寄った。身長180センチ、体重100キロを超える巨体が机ひとつを挟んで接近する。蛍光灯の光が遮られ、美瑠希の顔が影になった。

「だ……だって、本社から指摘されるまでは、まだ誤削除と決まったわけじゃないし、それに……」

山倉がおもむろに腕組みした。それに反応して美瑠希は躊躇するように言葉を飲み込んだ。だが、意を決したように山倉の目を見て続けた。

「仮に誤削除だったとしても、それを指摘するのはリーダーである本田さんの仕事です。山倉さんが勝手に、しかも連絡帳に貼り付けて晒し者にするようなやり方は間違ってると……思います」

最後は消え入りそうな声で、美瑠希は言い切った。山倉は苦虫を噛み潰したような顔で黙って聞いていた。

職務上は美瑠希の言い分が正しいことは誰の目にも明らかだ。だが、そもそも快人が誤削除をしなければこんなことにはなっていないのもまた事実だ。

山倉は腕組みしたまま黙っている。ヒグマのような風貌の男がまさか美瑠希のようなか弱い女性に殴りかかることはないだろうが、私は不測の事態に備えて身構えた。すると、山倉の肩から力が抜け、小さく息が漏れた。そして、静かに口が開いた。

「女のくせに毎日職場でエロ画像見て喜びやがって。一生アダルトカテゴリのチェックでもやってろ」

山倉の口から吐き出された信じ難い暴言に、この部屋だけ時間が止まったような錯覚を覚えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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