六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編30】爪の垢を一気飲み!

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すでに覚悟を決めていたのか、快人は驚く様子もなく席を立った。本田の傍に立つと、本田が快人の耳元に顔を寄せた。

「本社からメールが……」

かなりの小声だったので正確には聞き取れないが、その内容はおおよそ予想はついた。当然、快人の誤削除の件だ。快人は終始、神妙な面持ちで本田の話に耳を傾けていた。

本田に怒った様子はなく、淡々と経緯を説明しているようだった。

この仕事で禁忌とされる『誤削除』をしてしまったらどうなるのか。私は固唾を呑んで二人を見守った。同時に、『誤削除』の当事者にはなりたくないなと心から思った。

二人の会話はほんの二分ほどで終わった。本田が快人の背中をポンと叩いた。気にするなということだろう。なんと素晴らしい上司だろうか。快人の『誤削除』を晒し者にした山倉に爪の垢を煎じて一気飲みさせたいくらいだ。

最後に本田は机の引き出しから一枚の紙を取り出した。

「それじゃ、これ。だいたいわかるよね」

快人は小さく頷き、その紙を受け取った。

快人は自分の席に戻ると、その紙を机に裏返して置いた。そしてデスクの引き出しを開け、ボールペンを取り出した。大きなため息が聞こえた。とても声を掛けられる雰囲気ではない。

快人は右手でボールペンを器用に回転させてから、紙をひっくり返した。

そこには『始末書』と大きく記されていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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