六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編34】突然の退職願い

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パソコンの電源を付けると、ハードディスクが回り出す音が聞こえた。パソコンが立ち上がるまでの間にブラインドを全て降ろす。これは窓際の席に座る者の役目になっていた。

コンビニで購入したペットボトルのお茶とポッキーをバッグから取り出す。次にウエットティッシュでキーボードを掃除する。それが終わる頃にはちょうどパソコンが起動している。ここまではいつもと変わらないルーティーンだ。

だが、今日はいつもとは異なる点があった。ひとつ目は、私が二日酔いに悩まされている点。もうひとつは、普段ならば誰よりも早く出勤している快人がまだ姿を現していないという点だ。

始業時刻まであと二分を切ったところで、本田と山倉が談笑しながら入室してきた。二人に挨拶しつつ、その背後に目を向けた。快人の姿はなかった。

時計の針が始業時間を報せた。快人の姿はない。珍しく遅刻かなと思いつつも、嫌な予感が胸のあたりに渦巻いた。

ちょうどその時、本田のデスクに置いてある電話が鳴った。

「もしもし……どうした?もう九時だぞ」

相手の声は聞こえないが、本田の受け答えからそれが快人であることは容易に想像できた。おおかた、寝坊でもしてしまって、その旨を連絡してきたのだろう。

私は胸のつかえが取れたような気持ちになった。これで安心して仕事ができる。

胸をなでおろしてモニタに向かい、今日の最初の仕事に取り掛かろうとした時、本田のうわずった声が聞こえてきた。

「なんで?何があった?辞めるってお前……」

全員の視線が本田の持つ受話器に注がれた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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