六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編42】「男ってホント面倒」

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翌朝。曇天気分でAルームの扉の暗証番号を入力しようとドアの前に立つと、扉が内側から開いた。そこには、本田と快人が並び立っていた。

「おはよう。早いね」

本田は爽やかに口角を上げた。私は小さく挨拶を返し、快人に目をやった。
快人は私と目を合わせず、俯いている。

彼らはそのままAルームを出て会議室へと入っていった。おそらく、昨日の件で何らかの話し合いがもたれるのだろう。ひとまず、快人が出勤していることに胸をなでおろした。

私が入室すると、いつもの席に美瑠希が座ってパンにかじりついていた。

「おはよう」

私が声をかけると、美瑠希はパンを咥えたまま伏し目がちに顎を引いた。明らかにいつもとは雰囲気が違う。

こんな重苦しい空気の中で仕事をするのかと思うと、朝から気が滅入ってきた。それをあざ笑うかのように、窓の外はまぶしいくらいの青空が広がっている。

すべてのブラインドを下ろし、忌々しい陽の光を遮断してから席についた。パソコンの電源を入れると、ハードディスクが回る音が聞こえた。この音さえも、今日はどこか不快に聞こえる。

その時、背後に座っていた美瑠希が、椅子のキャスターを転がして私の隣に移動してきた。

「快人……来たね」

クロワッサンを手に持ち、上目遣いで美瑠希が言った。

「とりあえずよかったよ。俺も研修の途中だから教育係がいなくなると困るからね」

「本当にそう思ってる?」

不意に、美瑠希が訝しげな顔をした。その視線はどこか悲しげに見える。

「ご飯に誘ったりしてごめん。もう誘わないから」

「ちょ……それは関係ないでしょ」

「関係ないかな?」

その問いかけに、何と答えればいいのかわからなかった。
美瑠希はスカートに落ちたパンくずを払い落とし、唇の端を、白く細い指先で拭った。

「……男ってホント面倒」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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