六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編46】「二股とはやるねぇ」

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「どういう意味ですか?」

思いがけない榎本の物言いに、私の心臓が強く脈打った。

「だからさ、美瑠希ちゃんは快人のものやったのに、君が横から取ったんやないか。せやから、快人も動揺してあんなくだらん誤削除なんかしてしまうんや」

「いやいや……」

私は鏡の向こうにいる榎本に手刀を振った。だが、その後の言葉がなかなか出てこなかった。「美瑠希は快人のもの」という言葉のインパクトが強すぎたのだ。

「……というか、そもそも僕は美瑠希を取ったりしてませんよ。仲が悪いことはないですけど、それだけです。それに僕は彼女いますしね」

「なんや、彼女おるんや。二股とはやるねぇ」

「だからっ!」

私が語気を荒らげると、榎本はヤニで黄色く変色した歯を見せて笑った。

「まぁどっちでもええけど。もともと快人のあの性格じゃあ、美瑠希のことどうすることもできんやったやろうしな」

「美瑠希と快人って、付き合って……ないんですよね?」

私は眉を上げて尋ねた。

「仲睦まじかったけどな、あんたが入ってくるまでは。いっつも一緒に帰っとったみたいやし、昼飯も一緒に喰うこともあったみたいやけど」

榎本はズボンのポケットからタバコを取り出した。新品のマイルドセブンのフィルムを器用に剥がし、箱の隅を指先でトントンと叩いた。

「ま、お前さんにその気がないなら、快人の応援でもしてやったらどうやの」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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