六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編58】二十万も稼げるの?

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ほどなくして運ばれてきた豚骨ラーメンは、九州出身の私を満足させるものではなかった。思わず『このラーメンを作ったのは誰だ!』と私の中の海原雄山が叫んだ。快人は何の疑問も持っていないらしく、黙々と麺をすすっている。

結局、女性と付き合ったことがあるのかどうかという質問に対する明確な回答は得られなかった。だが、感触的には『ほぼ無い』のだろうと結論付けた。

「快人って……なんか趣味とか特技ってあったっけ?」

「無い」

一瞬だけ箸を止めてそれだけ言うと、すぐに箸を動かし始めた。

「俺はまったく詳しくないけど、オンラインゲームは得意なんじゃないの?」

「もうヤメたから。アイテムもキャラも全部売り払った」

「売り払った?」

私が尋ねると、快人はコップの水を一口喉に流し込んでからこちらを見た。

「知らないの?ゲームの中のレアアイテムとかキャラって売れるんだよ。オークションにもたくさん出品されてるよ。俺もオクで売ったし。全部で二十万くらいにはなったかな」

「に……二十万?」

思わぬ金額に驚いた私をよそに、快人は当然といった様子でザーサイに箸を伸ばした。

「そんなに稼げるのに、なんでヤメちゃったの」

「そもそも、金稼ぐためにやってたワケじゃないし……離婚したから」

最後の言葉に私は思わず吹き出してしまった。そちらの世界のことはよくわからないが、離婚が原因ならば仕方ないなと思った。

ゲームに関してはかなり自慢できるレベルのようではあるが、それで女の子――もちろん現実世界の女の子――を落とすことはできないだろう。

私は小さく息を吐いてから、快人に聞こえるようにつぶやいた。

「美瑠希ってカワイイですよね……」

快人は麺をすする音だけでそれに答えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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