六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編62】怪しげな『注射器』

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128ゲーム目までが連チャンゾーンの機種で120ゲームを超え、「もはやこれまで……」と観念したところで思わぬビッグボーナスを引き当てた。そんな気分だった。

だが、スロットならば手放しで喜べば良いが、仕事では違う。私が安堵のビッグボーナスを引いたということは、私以外の誰かが128ゲーム超えしてしまったということだ。

山倉が見下ろす先にいたのは、美瑠希だった。ゆっくりと山倉の方を振り返った美瑠希の唇は、僅かに震えているように見えた。

「お前、昨日『医薬品検索』やっただろ?」

「あ……そうだったかな」

「やってんだよ!ログ残ってんだからな!」

山倉の怒号に美瑠希は肩をビクつかせた。見て見ぬふりをしていた他の者たちも一斉に二人の方を振り返った。だが、快人だけはモニタを顔を向けたまま微動だにしない。

ウェブオクの利用規約には、『医薬品や医療器具の出品を禁止する』という項目が存在する。法令上、許可が必要な医薬品や医療器具をインターネット上で売買するのは問題があるという判断からだ。過去には怪しげな『注射器』が出品されたこともあると快人から聞かされた。もちろんその出品は即削除されたそうだ。

「何か……誤削除してましたか?」

美瑠希は必要最低限の言葉で山倉に尋ねた。山倉はわざとらしくため息を吐いて腰に手をあてた。

「誤削除じゃねぇよ、見落としただろ?コンタクトだよ!」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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