六本木ヒルズからの七転八倒

【入札編63】ウザい同僚への処方箋

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山倉は腰にあてた手を離し、自分の頬の上のあたりを指先で叩いてみせた。 

「コンタクトレンズは当面、削除対象だって本社からお達しがきてただろ!?そんなことも覚えてないのかよ」

どうやら、美瑠希が削除し忘れたのはコンタクトレンズの出品だったようだ。

――本来、コンタクトレンズの購入には処方箋が必要となるため、医薬品扱いとし、出品されていれば削除する

という旨の通達が、以前本社からメールで届いていた。その通達には、ゆくゆくは特定の業者であれば出品を認めるという方向で動いているということも付け加えられていた。

その前までは普通に出品も落札もできていたらしい。快人いわく、インターネットオークションもまだまだ過渡期なので、本社の判断も二転三転することがよくあるらしかった。この『コンタクトレンズ』が良い例だ。

「俺が代わりに削除しといてやったからな。連絡帳のエクセルに書いといたからちゃんと見とけよ!本田さんにも報告するからな!」

山倉は勝ち誇ったように言い捨て、部屋を出ていってしまった。
ドアが閉まる音の後、美瑠希の小さなため息が聞こえた。

残された者たちは、無言のまま自分のパソコンのモニタへと向き直った。部屋にはマウスをクリックする音とキーボードを叩く音だけが響き始めた。

美瑠希に何か声をかけてあげたかったが、何と言えばいいのかわからなかった。

となりに顔を向けると、快人は眉根を寄せて、身じろぎもせずにモニタを睨みつけていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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